専城乳児保育園 ~子ども達の「今の気持ち」と「今の発達」に寄り添う優しさを大切にしています。~

理念ブログ

焦らず、じっくりと

2019年3月3日

 京都大学名誉教授で、文化庁長官でもいらした臨床心理学の河合隼雄さんが、子育て中の親御さんから「子どもがボーっとしていることがよくあります。心配ないですか?」という質問をされた時、この様にお答えになっています。

 「そのように見える時こそ、こころが育っているんです。こころが出来上がっていくというのは大変なことで、まあお味噌とかお酒とかが発酵するみたいなものです。そのとき表にあらわれてくるものは、とてもあいまいでボーっとしている。子どもにはそういうボーっとしている時間が必要なんです。それを『何ボーっとしてるの!』なんて子どもから全部取ってしまうことはありません。お酒を造るには、麹でじわじわじわじわ発酵させなきゃならない。それなのにアルコール成分をバーっと注ぐみたいなことをして、『出来ました』とか言ってたら、味もそっけもないものになってしまうのは当たり前でしょう。それと同じことなんです」

 私たちの社会は、昔と比べて随分便利になりましたが、それでも時間のゆとりはありません。便利になった分、時間のゆとりが出来るはずですが、更に今以上により速く、より速くと効率をよくすることを求められ、皆疲れ果ててしまっています。社会全体が便利さや効率ばかりを追求するあまり、かえってゆとりをなくしてしまっているのではないでしょうか。

 便利さと効率と対極なものが、「子育て」だと思います。人を育てるというものは時間がかかるものなのです。河合先生がお酒の発酵に譬えられている様に、その子のありのままを受け入れ、辛抱強くじっくりと向き合いながら、その子の育つ力を引き出してあげるのです。「子育て」に近道はありません。

 子どもにボーっとしている時間が必要な様に、親御さんにもこころのゆとりが必要です。ほかの子と比べて一喜一憂することなく、焦らずに、ゆったりとした心持ちで、子育てに取り組みたいものです。

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