専城乳児保育園 ~子ども達の「今の気持ち」と「今の発達」に寄り添う優しさを大切にしています。~

理念ブログ

生きごこちの良い町

2019年12月23日

 岡檀(おか まゆみ)先生の『生きごこちの良い町』という本を知りました。この本は、全国でも極めて自殺率の低い“自殺最希少地域”である徳島県旧海部町(現在は海陽町の一部)について、その理由を医療研究者が現地取材、調査によって突き止めてくという内容です。

 自殺には、経済や、健康、人間関係等の問題のほかに、気候や地形、風土なども影響していると言われますが、海部町と地理条件が全く同じの隣り町では自殺率が全国平均より高いのに、海部町は際だって低い自殺率を示しているそうです。

 その隣町と海部町を比較すると、意外なことに、隣町の方が地域のつながりが深く、赤い羽根募金の金額なども多いそうです。

 岡先生によると、海部町の人たちは周囲から「野暮な奴だ」と言われることを最大の不名誉と思っています。「野暮」とは「個人の自由を侵し、なんらかの圧力を行使して従属させようとする行為」で、海部町ではそれが最も嫌われるのだそうです。

 例を挙げると、「人と違った考えや特徴を持っているという理由だけでその人を排除するという行為」や、「他者を評価する際に相手の能力や人柄を見ることなく、年功や家柄、財力だけで判断しようとする行為」、「その人にやり直しのチャンスを与えず烙印(らくいん)を押しつけるという行為」などがそれです。

 海部町のコミュニティにおいては、いろんな人がいて当たり前だという、それぞれの違いを許容する風土があり、緊密過ぎず、しかも公平な人間関係が成り立っているのだそうです。

 また、うつ病の通院患者について調べたら、予想に反して隣町より海部町の方が多かったそうです。海部町では、古くからの言葉で「病は、市に出せ」というものがあります。

 これは「病気は、早めに人前に公開せよ、それが病を治す近道だ」という意味ですが、同時に、自分の病を知られたくない、自分の弱さを認めたくないという虚勢を張ることへの戒めの言葉でもあります。

 だから、海部町の人は、うつ病で病院にかかることに抵抗がないから、通院患者数が多くなるのです。(よってこれは、うつ病患者そのものの数の比較ではなのです)

 さらに興味深いことに、アンケートを取ったら、海部町は、周辺の町と比較して住民の幸福度は最も低かったそうです。一番多かった回答は、「幸せでも不幸せでもない」です。

 私たちは、「幸せ」を他との比較によって決めてしまいがちですが、その「他人と比べる」ことから解放されたところに、自分というものへの承認と肯定(自分への信頼感)が生まれます。それが海部町の人びとの生きやすさや、際だって低い自殺率に繋がっているのでしょう。

 専城乳児保育園では、子ども達一人ひとりの個性と自己肯定感を育むことを大切にしながら保育に取り組んでいます。

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