専城乳児保育園 ~子ども達の「今の気持ち」と「今の発達」に寄り添う優しさを大切にしています。~

理念ブログ

じっと見守る

2021年7月26日

 日本は世界の中でも災害の多い国と言われています。災害時、様々な被災地支援が行われますが、その中でも特に、被災された方の心のケアの重要性が指摘されています。

 もちろん心のケアは非常に大切ですが、それよりも時には、そっと見守ってあげることの方がいい場合もあるようです。

 東日本大震災の時には、心のケアに携わる多くのボランティアの方が支援に行かれたそうですが、次々と訪れる心のケアボランティアに辟易した被災者の方もおられたようで、ある避難所では、「心のケアお断り」という張り紙が出されたそうです。

 被災された方の傷ついた心を何とか癒そうとしたそのケアが、かえってその傷を深める結果になったのかもしれません。

 子育てにおいても同じようなことがあります。特に子どもへの過干渉がそれにあたります。私たち親はついつい我が子のやることに口出ししたり、手出ししたりしがちです。 よかれと思ってやっているかもしれませんが、実はそれこそが子どもの成長する機会を奪い、自立して生きていく力を育むことを阻害しているのです。

 明治大学文学部教授で、教育学博士の諸富祥彦(もろとみ・よしひこ)先生はこうおっしゃいます。

「教育改革などでも、『主体性のある学び』の大切さを訴えていますが、親がなんでもやってしまう過干渉育児は、まさにその主体性がない子どもを育ててしまっているのです」と。

 さらに、過干渉でない育児とは、余計な手出し、口出しをせず、子どもがすることをじっと見守るそういう育児であるともおっしゃいます。

「子どもには“一人で遊ぶ力”がもともと備わっているので、子どもが遊んでいるのをただ見守ってあげればいいのです。こう言うと、全く子どものことを見なくなってしまう人が多いのですが、それではいけません。子どもは一人で遊んでいるように見えても、時々親が自分のことを見てくれているか、確認しています。そのとき、親が自分のことを見守ってくれていると感じると、安心して、また自分の遊びの世界に戻っていけるのです」

 また、『嫌われる勇気』の著者で、子育て関連の本も多く書かれている岸見一郎(きしみ・いちろう)氏も、次の様にいわれます。

「子どもがやることを先回りして、手出し口出しするほうが、親としては実は楽なのです。色々注意して、言うことを聞かせたほうが育児をした気になるからです。あえて手出し口出しせず、見守るという選択をするほうが、勇気が要る行為です。子ども自身が『これをやろう』と決意し、自ら動き出すのを待つ。そして親は子どもに指示してやらせるのではなく、子どもがやろうとしていることを援助する。そうすることによって、子どもは自立し、自分で生きていく力を育むのです」

 子どもには育つ力があります。つい口や手を出したいとことろをグッとこらえて、子どもを信じてじっと見守るそういう子育てを心掛けたいものです。

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